ブラジルの国土の半分を占めるアマゾン地域、世界最大の水量を誇るアマゾン川から、
それを取り巻く緑のジャングルや野生の動物や原住民など、それこそ人跡未踏というステレオイメージが
離れないところではあるが、実際は米国大陸発見から、新天地での人間の思惑が重なり合い、土地の侵略から
様々な地域からの移植民開発など、ある意味ではもっともグローバル化が図られた地域ともいえるかも知れません。
今回ご紹介するこの書籍は、今までのアマゾン紹介書籍とはずいぶんと異なる構成がされており、
今まで余り知られていなかった、アマゾンのイメージが大変新鮮に感じられるのが特徴といえます。
特に、南米地域でのスペインとポルトガルとの領有争いで、ポルトガルがなぜアマゾンを有利に支配できたのか、
また、米国合衆国での南北戦争後の奴隷解放が、その後に多くの黒人の転住先としてアマゾンが強力に推し進められたこと、
また、それに鑑み南部出身者が新天地をアマゾンに求めて多数移住したこと、19世紀終わりから第2次世界大戦前までの、
ゴム栽培適地としてフォードがこの地に乗り込む件に際しては、それと敵対した日本人移住者がすでに東南アジアでの経験から
アマゾンのきっかけとなったこと、又このアマゾン移住には渋沢栄一も資金援助で関わりがあったことなど、意外とそのときの流れが
明確に知られていないことが、「目からうろこ」の如く知識として吸収できる点が大変興味深く感じた。
アフターコロナのこれからの世界の情勢を考える時、やはりアマゾン地域の出来事が一歩先を進んでいるかも知れないと考えさせられる
素晴らしい書籍として、皆様の一読を強くお薦めしたい一冊です。